学校給食費の無償化を求める陳情書を自民・公明が不採択に(総務文教委員会で)
63号 2018.9
不採択にすべきとして出された意見の論拠は主に2点でした。
① 市単独で実施するだけの財源がない。
② 学校給食費の無償化よりも、英語教育やプログラミング教育など、学力向上のために使うべき。 というものでした。
一つ目の財源については、福生市には十分な財源があることを指摘してきたところです。学校給食費無償化を実施している自治体の多くは過疎対策債を活用しているという意見がありました。それを言うなら、福生市には、基地交付金のほか、様々な基地関連の補助金が活用できる道があります。事実、これまでもこれを大いに活用して様々な事業を展開してきたことは皆様ご承知のとおりです。福生市で学校給食費無償化に必要な新たな予算は1億4千万円です。毎年のように10億を超す黒字を計上している福生市の財政にとって、1億4千万円を新たな固定経費として予算化する力は十分にあります。委員会審査の中で、財政にゆとりはないとする意見の根拠として、財政調整基金が標準財政規模の20%を超える規模に達していることについて、「最近の考え方として、20%は必要とする考え方が一般的であって、けっして多すぎない、ゆとりはない、」という意見がありました。これまでは10%あれば十分で、それ以上貯めこむことは、市民サービス向上に振り向けることを怠ったとして批判の対象になったものです。20%を当然とする考え方は、安倍政権への不信の表れということでもあるのでしょう。政権与党の方から、こういう意見が出ることは皮肉と言えば皮肉です。しかも、福生市の場合、財政調整基金が標準財政規模の20%をも大きく超えているため、29年度においては、歳入歳出の差額の半分を本来は財政調整基金には積み立てるべきところ、都市施設整備基金など、特定目的の基金に積み立てる余裕さえある状態なのです。財源がないとは絶対言えないはずです。
二つ目の、学校給食費の無償化よりも、英語教育やプログラミング教育など、学力向上のために使うべき。という意見について。委員会審査の中で、親の意見として、「給食費は働いて稼ぐことはできるが、英語を教えることはできないので、そちらにお金を使ってほしい。」という声が紹介されました。こういう声がありうることは否定しませんが、子ども一人当たり年5万円ものお金を稼げない家庭があることも事実なのです。そして、生活保護基準以下の家庭にしか支給しない福生市の就学援助制度では、はじかれてしまう家庭がいかに多いか想像してみてください。貧困家庭が増えている福生市において、学校給食費無償化と学力向上施策を対置させて論じ、学力向上施策を優先すべきだとする立場は、貧困家庭の子どもと保護者の思いに寄り添ったものではありません。