活動日誌

2013年4月15日

96条改悪の狙いは・・・

憲法96条には、国会が憲法改正を発議するには、2/3以上の賛成が必要と規定していますが、自民党はこれを「過半数」に変えようとしています。私は、当初、自民党の真の狙いは憲法9条で、国民に受け入れられやすい96条をまず先に改悪して、改憲ということに国民を慣れさせ、次に9条を変えようということかなと思っていました。しかし、今日、憲法9条・福生市民の会の総会があり、みんなで話し合った結果、どうやら、96条の改悪そのものがものすごく危険で重要な意味を持っているということがわかりました。

 2/3でなくて、「過半数」になれば、そのときの政権は、自由にいつでも憲法のどこでも変える発議ができることになります。一般の法律を作ったり変えたりするのと同じです。国民投票でチェックできるからいいんじゃないの? という人もいるでしょうが、実はここが落とし穴。国民投票では「過半数」の賛成でいいんです。すなわち、政権を獲得できた票さえ維持できれば成立してしまうのです。国民投票の投票率を何パーセント以上とする規定もありません。最悪、1割程度の投票結果で憲法が改悪されてしまうことも起こりえるのです。国民の無関心と政治不信を利用して、一部の勢力が憲法を都合の良いように変え、ファッショ的な政治を可能にしてしまう恐れがあるのです。
 改憲勢力は、「日本国憲法は一度も改憲されたことがなく、それは諸外国に比べて2/3以上という厳しすぎる制約があるからだ、これでは、国民が憲法に対する意思表示する機会が制限されてしまう。」ということをよく言います。しかし、自民党自身が出した改憲の討議資料を見ても、この理屈はおかしいことがわかります。アメリカ、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、中国、韓国の7カ国を比較していますが、カナダ以外の6カ国はすべて2/3以上という厳しい制限を設けています。どうして、これで、日本が「世界的に見ても改正しにくい憲法になっている。」なんて言えるのでしょう? まったく事実に反します。
 日本の憲法が一度も改正されてこなかったのは、改正の必要がないほど優れた内容を持った憲法だと言うことを示しているのだと思います。憲法の精神に沿って法律を整備すれば十分対応できるものだったからです。
 96条改悪の狙いは、単なる9条(戦争放棄、戦力の放棄)改悪への地ならしではなく、19条(思想信条の自由)、20条(信教の自由)、21条(集会、結社、言論、出版の自由)、23条(学問の自由)、24条(両性の平等)、25条(健康で文化的な最低限度生活の権利)26条(教育を受ける権利)等々、およそすべての条文が改悪のターゲットにされてしまうでしょう。

 今度の参議院選挙は、この96条「改正」が自民党側から争点にされそうです。護憲派としては、この危険な狙いを大いに国民に語って参議院選に勝利し、96条改悪の策動を阻止したいと思います。私も微力ながら、精一杯がんばります。
 みなさんに読んでいただきたい資料として、改憲派の理論的支柱として自民党の勉強会の指南役も務めてきた小林節氏(慶応大教授)の「96条改正は絶対ダメ」(毎日新聞4月9日夕刊 特集ワイド)を推薦します。