活動日誌

2018年10月3日

「学校給食費無償化を求める陳情書」に賛成討論をしました

63号 2018.9
陳情第30-2号 「学校給食費の無償化を求める陳情書」について、日本共産党会派を代表して賛成の討論を行います。
本陳情書は、学校給食費の無償化を求める理由として3点あげています。
① 子どもの貧困が叫ばれる中、子育て世代への力強い応援策となること。
② どの子も安心して学習やスポーツに打ち込めるようになること。
③ 人口流出を抑え、他地区からの人口流入も期待されること。
の3点です。私は、この3点についてはいずれも理解できるところですが、委員会での審査においても、この3点についての異論は一切出されませんでした。それでもなお、不採択にすべきとして出された意見の論拠は主に2点でした。
① 市単独で実施するだけの財源がない。
② たとえ財源があっても、学校給食費の無償化よりも、英語教育やプログラミング教育など、学力向上のために使うべき。 というものでした。
 一つ目の財源については、福生市には、単独で実施できる財源があることをこれまでも指摘してきたところです。委員会審査の中で、学校給食費無償化を実施している自治体の多くは過疎対策債を活用しているからできるという意見がありました。それを言うなら、福生市には、基地交付金のほか、様々な基地関連の補助金が活用できる道があります。事実、これまでもこれを大いに活用して様々な事業を展開してきたことは皆様ご承知のとおりです。福生市で学校給食費無償化に必要な新たな予算は1億4千万円です。毎年のように10億円を超す黒字を計上している福生市の財政にとって、1億4千万円を新たな固定経費として予算化する力は十分にあります。委員会審査の中で、財政にゆとりはないとする意見の根拠として、福生市の財政調整基金が標準財政規模の20%を超える規模に達していることについて、「最近の考え方として、20%は必要とする考え方が一般的であって、けっして多すぎない、ゆとりはない、」という意見がありました。これまでは10%あれば十分で、それ以上貯めこむことは、市民サービス向上に振り向けることを怠ったとして批判の対象になったものです。20%なければ心配という考え方は、安倍政権への不信の表れということでもあるのでしょう。政権与党の方から、こういう意見が出ることは皮肉と言えば皮肉です。確かに、国は地方自治体の財政を困難にさせる政策を連発しています。地方交付税を減らしてその分を臨時財政対策債という形で借金をさせたり、地方法人税という新たな国税を作って、その財源を法人市民税という地方自治体の財源から奪っていったり、ふるさと納税を創って、市民が協力すればするほど、その市民が済んでいる自治体の税収が減るというとんでもない仕組みも作りました。自公政権の与党の皆さんは、こうした国の地方自治体いじめとは戦わず、ただただ「積立金は多ければ多いほどいい」という防衛に回り、市民の暮らしを守るために財政力をフルに活用することに憶病になっているのではないでしょうか。
しかも、福生市の場合、財政調整基金が標準財政規模の20%をも大きく超えているため、29年度においては、歳入歳出の差額の半分を本来は財政調整基金に積み立てるべきところ、都市施設整備基金など、特定目的の基金に積み立てるという余裕さえあるのです。財源がないとは絶対言えないはずです。
 二つ目の、学校給食費の無償化よりも、英語教育やプログラミング教育など、学力向上のために使うべき。という意見についてです。委員会審査の中で、親の意見として、「給食費は親が働いて稼ぐことはできるが、英語を教えることはできないので、そちらにお金を使ってほしい。」という声が紹介されました。こういう声がありうることは否定しませんが、子ども一人当たり年5万円ものお金を稼げない家庭があることも事実なのです。そういう家庭のために就学援助制度があるではないかという方には、生活保護基準以下の家庭にしか福生市の就学援助制度では支給されない、ということを直視してほしいと思います。いかに多くの貧困家庭が除外されているか想像してみてください。今も、貧困家庭が増え続けている福生市において、学校給食費無償化と学力向上施策を対立させて二者択一で論じることは間違いです。どちらも大切な施策なら、どちらも実施するべきなのです。学力向上施策を優先すべきだとする立場は、貧困家庭の子どもと保護者の思いに寄り添ったものではありません。
 最後に、福生市よりも人口が多く、過疎対策債も使っていない大田原市の様子を紹介します。学校給食費の無償化を始めて5年を経過した時点で保護者アンケートを実施しています。97%の回収率で、継続を求める声が89%、一部変更して継続を求める声が7%、廃止を求める声は3%でした。圧倒的な支持を受けている理由として、「経済的負担の軽減となり、別の出費に回せる。」「滞納に関するトラブルがなく、全ての子どもが安心して給食を食べられる。」「少子化対策・子育て支援に有効である。」などの声が多数を占めています。決して、過疎地域や町村だけの取り組みだけではないことを紹介しておきたいと思います。

以上のことから、「学校給食費の無償化を求める陳情書」については、採択すべきであると述べて、日本共産党会派を代表しての賛成討論とします。