企業主導型保育事業に対する固定資産税・都市計画税の軽減に反対しました。
5月11日、福生臨時市議会が行われました。国で地方税法が「改正」されたことに伴う条例改正案件が2件、専決処分に対する承認案件3件ありました。わたしは、日本共産党会派を代表して、2件の議案について以下の通り反対討論を行いました。
議案第27号 福生市税賦課徴収条例の一部を改正する条例について、日本共産党会派を代表して反対の立場から討論を行います。
本改正案は、待機児童の解消のための保育施設整備を促進するために、地方税法で固定資産税の課税標準の2分の1軽減規定が定められていましたが、今回の地方税法の改正により、地域決定型地方税特例措置が導入され、地方公共団体の条例で定めることとされたため、福生市税賦課徴収条例の一部改正がなされるものです。
内容は、平成27年から開始されていた家庭的保育事業、居宅訪問型保育事業、事業所内保育事業の固定資産税については引き続き2分の1軽減を規定し、平成28年から新しく開始された企業主導型保育事業についても、その固定資産税の課税標準の2分の1軽減を規定しようとするものです。
私は、児童福祉法で規定する保育の質を実現しようとするなら、待機児童の解消はあくまでも公的責任での認可保育所の増設をもって対処すべきと考えています。とは言え、全国的に大きな問題となっている待機児童問題の一刻も早い解決のためには、家庭的保育事業、居宅訪問型保育事業、事業所内保育事業の3つについては、認可保育を臨時的に補完する制度としてその必要性を理解するものです。しかし、企業主導型保育事業については、賛成できません。以下にその理由を3点述べます。
① 企業主導型保育事業は、認可保育園のような市町村の関与・指導監督がなく、保育の公的責任を大きく後退させるものです。
② 企業主導型保育事業には、子どもの人数制限も年齢制限もありません。保育士の人数も保育従事者全体の2分の1でよいとし、保育室の広さや園庭・調理施設などの施設設備の基準も単なる努力義務にしてしまうなど、国際的な基準よりも低い現在の国の基準をさらに下回ってしまうことになる恐れがあります。
③ 企業主導型保育事業の地域への参入は、保育における一層の規制緩和であり、保育の市場化を意味しています。保育料の設定は国により基準が示されていますが、最終的には事業者の裁量であり、安く設定される可能性があります。認可保育園との競争になります。貧困化が進む子育て世代が、保育の質よりも保育料の安さをもし選ぶことになってしまえば、認可保育園の経営難や保育事故の増大も懸念されることになります。
以上3点の反対理由を述べました。認可外保育施設における乳幼児の死亡事故は、2014年度で12人と、認可保育所の5人と比べても多くなっています。死亡率は認可保育所の8倍にも上ります。待機児童対策を理由に規制緩和を進めることは、安心・安全な認可保育所で子育てをしたい、認可保育所を増やしてほしいという保護者の願いに逆行するものです。公的責任での認可保育所の増設、職員配置基準と保育士給与の引き上げこそ、緊急に行うべきであることを主張したいと思います。
以上のことから、議案第27号については反対であることを述べて、日本共産党会派としての反対討論とします。
議案28号、福生市都市計画税条例の一部改正案についても、上記と同様の理由で反対討論を行いました。