令和3年度決算に反対討論
賃金は目減り、年金・生活保護費は削減、医療費・社会保険料は値上げ、物価は高騰という何重もの苦難に国民は苦しんでいます。一方、日本政府は世界の中でもまれにみる失政・手詰まり状態です。
そんな状況だからこそ、住民の身近にある福生市の行政課題はたくさんあります。日本共産党会派として、それにこたえる福生市になってほしいという願いから、3年度決算審査の中で浮かび上がった福生市の課題を指摘しました。以下、私の発言概要です。
議案第42号 令和3年度福生市一般会計決算認定について、日本共産党会派を代表して反対討論を行います。
まず初めに行財政運営についてです。福生市の歴代の市長さんは、福生市が国策による米軍基地を受け入れる代償として、十分な基地交付金を要求し、これを福生市の財政的な強みとして、インフラや公共施設の充実に努めてきたと思います。
一方、加藤市長になってからの行財政運営の特徴は、「持続可能な自治体」(4年度予算審査特別委員会での市長答弁)を掲げ、財政力指数や経常収支比率などの財政指標を使って厳しさを強調し、その結果、福生市の財政的な強みをいかして市民サービスの向上に努めることが弱く、身の丈に合わない大きな積立金に回しているのが現状ではないでしょうか。
財政指標の見方も恣意的です。経常収支比率については、インフラや公共施設などハード面の都市建設が必要だった成長型社会の時代の昔の数値(70~80%が適正)を使って厳しさを強調し、一方、財政調整基金については標準財政規模の10%程度必要という従来の財政常識を捨て、20%は必要という新しい説を持ち出して、20%をも超える31億円もの財政調整基金を合理化するご都合主義です。自治体がお金をいくら貯めても、市民生活は向上しないし、地域経済への何の波及効果も生まれません。福生市の財政力をもっと積極的に活用すべきであったと考えます。
2つ目に指摘したい問題点は、福生駅西口の複合公共施設と引き換えに、今も市民に活用され大きな役割を果たしている公共施設を20%も削減しようとしていることです。財政的には十分維持していくことが可能であることをこれまでも繰り返し指摘してきましたが、「公共施設の総量抑制」方針を変えようとしていません。これは明らかに市民サービスの低下です。市は「効果・効率的な公共施設の保有量」を考えるとも言っていますが、「公共施設の総量抑制」が大前提としてある以上、これは削減の弁解にしかならないでしょう。
小学校を7校から4校に削減する方針も変わっていません。小中一貫教育の導入に向けた検討が始まっていますが、これが公共施設20%削減方針の具体化であるとしたら、本末転倒であり大問題です。教育長は両者は関係ないと言っておられるので、今後を中止したいと思います。
第3の問題点として、福生市の重要課題である人口減少、特に、子どもとその親世代の減少に対して、新たな効果的な施策がなかったいうことです。その結果、令和3年度においても1月1日現在の人口で750人もの人口減少となってしまいました。今、指摘したように、財源はあるのに、学校給食費の無償化、就学援助の支給基準を他市並みの水準まで拡大することなど、子育て世帯の人口流出を防ぎ、新たな転入を期待できる有効な支援策だと訴えましたが、取り入れられませんでした。そればかりか、学校図書費の削減など、教育条件の後退があったのはまことに残念でした。
第4の問題点として、市民生活を支え、地域振興にも重要な貢献をする地域公共交通の整備が検討されなかったことです。今、市が力を入れて進めている福生駅西口に再び賑わいを取り戻そうとする計画も、そのためには、市民誰もがここにアクセスできるようにすることが不可欠です。私どもが提案している、福祉バスを誰もが乗れる市内循環バスに発展させることについて、何の理由も示さず、「考えていません。」の一言で済ましています。私は市長はきっと考えておられると思います。福生駅西口の再開発の成功と、だれもが乗れる地域公共交通の整備は一体不可分のものだからです。福生駅西口のリニューアルオープンに間に合うよう、一日も早く地域公共交通の整備について正式に検討を開始するよう求めるものです。
第5の問題点。横田基地への対応です。「これ以上の基地機能強化は認められない」は市長と議会の一致した立場です。しかし、現実はなし崩し的に基地機能強化が進んでいます。
誠に遺憾なことです。
令和3年度に3年に一度行われる福生市市政世論調査が行われました。日本共産党会派は、この調査の中にある横田基地の賛否についての設問が二重、三重に恣意的であり、市民の横田基地に対する賛否が正しく反映されていないことを指摘し、改善すべきであると文書で申し入れを行いました。しかし、市はこれを拒否して、恣意的な設問を強行し、集計結果の中で、「横田基地の賛否」として基地「肯定派が8割台後半となっています。」と発表しているのです。私は6月議会での一般質問でもこの問題を取り上げましたが、市は私の恣意的であるという指摘に何らの反論もできず、ただ「経年での変化を把握することが重要」という理由だけで、そのまま実施したことがわかりました。
恣意的に、基地肯定派を8割台後半と大きく描き出しておいて、「これ以上の基地機能強化は認められない」と言っても、これでは国にも、米軍にも説得力を持たないのは当然ではないでしょうか。 以上5点の問題点を指摘し、改善を求める立場から、議案第42号 令和3年度福生市一般会計決算認定には反対であることを表明いたします。